王の時計商と呼ばれたカルティエの歴史

タンクのことを深く知るためにもカルティエの歴史を簡単に紹介します。カルティエの始まりは宝石細工師のルイカルティエから。彼が師匠からジュエリー工房を引き継ぎ、カルティエを創業しました。ルイの宝石細工の技術力は非常に高く、次第に王族や貴族に評価を得られるようになっていったのです。

息子、孫の尽力もあり世界各国の王室御用達になり、イギリスのエドワード7世がカルティエを「王の時計商であり、時計商の王だ」と言った逸話が残されています。

タンクの由来

上にも述べたようにタンクの由来は戦車です。1917年、第一次世界大戦の最中、フランスのパリはアメリカ、フランスを含む連合軍対ドイツ軍の戦争の舞台になっていました。そんな中アメリカのジョン・パーシング総司令官率いるヨーロッパ派遣軍が連合軍に加わることに。彼らは最新鋭のルノー社製の戦車に乗ってドイツ軍を鎮圧し、パリはドイツ軍から解放されました。

創業者のルイカルティエはジョン・パーシングの活躍を讃えた上、もうこのような戦争が起こらないように願いを込めてあえて戦車の形の時計を彼に贈ったと言われています。

タンクルイカルティエについて

現在製造中のタンクの中で、誕生時のプロトタイプに一番近いモデルがタンクルイカルティエです。創業者の名前がつけられているくらい特別思い入れの強いモデルと言えます。

角型のフォルム、丸みを帯びた角は後にアールデコと呼ばれる様式の先駆けでした。ケースからラグへ直線で繋がるラインや宝石細工の意匠が残るカボション、クラシックなローマ数字のインデックス、控えめなながらクラシックで上品なミニッツマーカーなどタンクを構成する要素はすべてこのモデルから引き継がれています。

タンクフランセーズについて

フランセーズとはフランスという意味で、フランス版のタンクということです。ケースとベルトが一体になっているデザインで、ベルト部分はキャタピラそのもの。まるでブレスレットのように使える軽やかなデザインで、大き目サイズのものやクロノグラフモデル、日付表示機能付きのモデルも多く男性にも人気の高いシリーズです。

ホワイトダイヤルだけでなくピンクのシェル文字盤、イエローゴールドケースなどそれぞれに合ったモデルが選べるのも魅力です。

タンクアメリカンについて

タンクアメリカンは名前の通り、アメリカ版のタンクです。特徴は長方形のケースと手首に馴染むなだらかなカーブ。幾何学的な印象のケースラインがシャープさ丸さを両立させています。

レクタンギュラーといえばフォーマルな印象の時計が多いですが、タンクアメリカンは絶妙なバランス感でラグジュアリーでエレガントな印象をもたせます。フォーマルに使えるのはもちろん、パーティーなどのお祝いの席にもぴったりな頼れるパートナーウォッチです。

タンクソロについて

タンクソロは発売からすぐに定番商品となった特に人気のモデルです。タンクソロはタンクフランセーズよりも大きく、フラットなデザインになっていてシンプルで控えめさがフォーマルなシーンで親しまれています。

タンクルイカルティエよりも広めなケースサイズはどちらかといえば男性なモデルに仕上がっています。飽きがこない定番なデザインと比較的リーズナブルで手に入りやすい点から、タンクの中でも非常に人気が高いシリーズになっています。

まとめ

画像出典:Yoshikazu TAKADA

2017年にタンクは誕生から100周年を迎えます。タンクは基本の形は変わらないのですが、シリーズの中には生産終了や復活を繰り返しているモデルもあります。

カルティエは人気のモデルだろうと急に生産中止にしたり、復活させたりと癖をもった販売の仕方をするブランドなので貴重なモデルに出会うことができたらその時は手に入れることのできる数少ないチャンスかもしれません。ぜひ手に取ってその世界観を感じてみてください。