機械式時計の魅力をお話しします

機械式時計はゼンマイの巻き上げや細かなメンテナンスが必要などクオーツ時計(電池式)に比べ手間のかかることが多い時計です。それでも世界中で有名ブランドをはじめ、独立時計師と呼ばれる個人で活動する職人など、今もなお機械式時計は人々を魅了し続けています。今日はそんな機械式時計の魅力について紹介します。

小宇宙と呼ばれる機械式時計の仕組み

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みなさんは機械式時計がどう動いているかをご存じでしょうか?なんとなくゼンマイが巻かれていて、それがほどけながら歯車が動いて…針が動く。そこまでイメージできていたら、機械式時計の基本的な仕組みは理解したも同然です。

振り子で動く置き時計を横に向けても動くようにしたもの、それが機械式時計のおおまかな仕組みです。巻かれたゼンマイがほどけながら歯車が動いて…その先には平面に動く振り子が時間を刻んでいきます。振り子の動く周期はおよそ1日に69万回と(平均的な8振動の時計の場合)とてもぜんまいと歯車だけでつくられている機械とは思えないほどタフに動いています。

内臓される美しい機械(ムーブメント)

機械式時計の中に入っている機械(ムーブメント)はとても美しいものばかりです。元を辿ればフランスの貴族がお抱えの時計師たちに他の貴族たちより美しい時計をつくらせてきました。世界で最も有名なスイス時計の元祖はフランスの貴族へ向けた超高級品なのです。かつて貴族の持ち物だった時計を現代では誰にでも愉しむことが出来ると思うとすごいことですね。

英知の結晶ともいえる複雑な機能たち

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時計の機能は時間を知らせることだけではありません。ミニッツリピーターと呼ばれる時刻を音で知らせてくれる機能や太陽系の動きを知ることのできる機能など便利さとはかけ離れた機能を持つ時計も多く存在します。それらの複雑な仕組みをつくるために部品点数が300を超えることもあるほどです。時計を持つ意味は時間を知ることではなく、時計を愉しむことにもあると思わせてくれる機能です。

ブランドを所有する歓びと信頼

時計ブランドは世界中にありますがスイスを本拠地とするものが最も多いです。それはスイスが代々続く歴史によって国として時計産業に取り組んでいることと、技術の継承や時計造りに集中できる環境があるからと言われています。

中でも超有名ブランドはその時計を持つこと自体がステータスのように扱われており、まさに貴族が所有する時計の歴史を垣間見ることが出来ます。長い歴史によって培われた技術は信頼となりブランド力になり誰もが憧れる時計ブランドになっていくのです。

毎年行われる時計見本市(バーゼルワールド)で最高峰の時計を探そう

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時計ブランドが集まる展示会は世界中で開催されていますが、中でも最も大きいと言われているのはスイス:バーゼル市で毎年春に行われるバーゼルワールドです。世界各国から10,000を超える時計ブランドが参加し新作を披露します。また、年間で1本しかつくれないような超複雑機構が載った時計をこの祭典のために新作を引っ提げてくる時計師も数多くいます。

独立時計師と呼ばれる個人で活躍する職人たち

世界には独立時計師と呼ばれる時計職人がいます。彼らはブランドに所属せず、自らの名前を冠したブランドを建てて活動することが多いです。彼らはいずれも時計学校を高いレベルで卒業する、あるいはブランドの技術部門の部長の経験があるなど高い技術を持った職人がより拘りを持った時計造りがしたいと独立するケースが多いようです。

自分の名前がブランド名になっている以上、妥協はできません。製作だけでなくデザインや素材の調達からすべてを自分で行うので、すべてを拘って選ぶことができます。

ブランドに所属することをやめた主な理由

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なぜブランドに所属しないのかについてですが、特に製作時の拘りに温度差が生まれやすいのです。例えばビッグブランドほど斬新なデザインや奇抜な新作をつくることは多くありません。どうしても大人数を抱え大人数と関わり合うブランドでは、誰かにとっての150点よりも大人数にとっての80点を狙いにいくつくりかたをするからです。

しかし独立したいと思えるほどに拘りを持つ彼らは、拘りぬいた200点の作品を作り続けたい、そう思うからこそビッグブランドとは活動するときに相性がよくないのです。

彼らの時計はクセがあり、美学があり、情熱がある

そこまで拘り抜く独立時計師たちは技術やデザイン、美学に自信を持っており時に遊び心なのか彼らの美学なのかわかり辛い作品もあります。それほどに彼らの時計は面白く、クセが強く、拘りが乗っています。

もし彼らの作品を見かけることがあったらぜひ手にとってみてください。多くても年間に100本、少なければ1年かけてつくられている彼らの作品には間違いなく、情熱や拘りが乗っている世界で1本だけの時計です。ハンドメイドである以上、まったく同じものを彼らはつくらないのです。

まとめ