カナダグースの始まり


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1957年、カナダ北東部の都市トロントに、1件の小さなガーメントファクトリーが誕生。繊維産業で栄えるその地に創業したのがメトロスポーツ社であり、彼らの作るブランドが「カナダグース」になります。現在、コストダウンを迫られ、アジアや諸外国に生産地を移す北米、ヨーロッパのアウトドアブランドが多い中、厳密なプロダクトコントロールと、常に革新を続ける確かな技術力で「メイドインカナダ」にこだわり生産し続けています。創業当初から50年近く、カナダグースの製品は、カナダ北部やシベリア、アラスカといった極寒地で生活する人々や、南極探検隊、エヴェレスト登山隊などのプロフェッショナル達にもその製品を提供し続け、そして、彼らのフィールドでの実体験から基づくデータを製品にフィードバックしてきました。

カナダグースの羽毛

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ダウンジャケットには通称ダウンと呼ばれる様々な種類の羽毛が使われています。カナダグースのプロダクトに使われる羽毛は、数多い種類の中でも、保温性に優れたグース、日本でいうガチョウの羽毛が使われています。なぜグースが保温性に優れているかというと、ダック(あひる)に比べカラダのサイズが大きく、寒い地域に多く生息しているからなのです。そして、カナダグースのこだわりとして”生きたグースのダウンを使わない”というものがあります。それはすなわち、”ダウン(羽毛)の為にグースを殺さない”ということです。北欧や欧米諸国では現在、動物愛護の観点からみて、ダックやグースの羽毛の採取方法が問題視されています。その採取方法がライヴ・ハンド・ピッキングと呼ばれるもので、生きたままのダックやグースから人間が直接、手で羽毛をむしり取る方法です。

世界的にみるダウンの需要からダックやグースの数が足りなくなり生み出されたこの方法は、一匹から3〜4回ダウンを採取できるとされています。残酷なその方法に異議を唱える形として、カナダグースでは、”食用の副産物”として食用に養殖されたグースの余ったダウンを使用しています。これにより、無理矢理むしり取る際に生じるダウンの痛みがなくなり、より上質なプロダクトが提供できるとされています。この他にもカナダグースは自然保護も力を入れており、カナダの自然とホッキョクグマを守る為に、二つの団体とパートナーシップを結んでいます。

歴史の古い「スノーマントラ」のジャケット

カナダグースの製品の中でも最も長い歴史を持つ「スノーマントラ」は、カナダ北極圏で働く人々のニーズに応えて開発されたもので、カナダ北極圏警備隊からファーストエア航空の地上職員まで、最も過酷な仕事の制服に採用されてきました。重さ約3.4kg、マイナス70度での実地試験をクリアし、247個以上のパーツによって構成されるスノーマントラは、極寒の地で生活を営み仕事をする人々に欠かすことのできない防寒具として愛用されています。そして、すべてのカナダグースのジャケットにスノーマントラの機能が取り入れられているのです。

エクスペディションパーカー

カナダグースのウエアの中で、最もポピュラーで世界中に知られているモデルがエクスペディションパーカーです。アウターシェルには「アークティック・テック」という素材を使って、4層構造の特殊ライニングを使用しています。ポリエステル・コットンにテフロン加工が施されているため、優れた撥水性と耐久性を実現。顔を寒さから守るフードの縁には、凍結しにくいといわれるコヨーテの毛が使われています。また、ワイヤーも通してあるため、ファーの形状を変えることができるのもポイントになります。ジャケットの内側のウエスト部分には、スノースカートを装備。

ベルトでの調整が可能なので、ウエストサイズに合わせてしっかり締めておけば、地面から吹き上がってくる風や雪の侵入を防ぐことができるのです。このエクスペディションパーカーは、カナダグースの中でも最もポピュラーで世界中に知られるモデルの一つであり、カナダグース製品が支持される理由のひとつである高い保湿性が特徴となっています。また、南極の全国科学基金の研究部門で、毎年使用されるウエアでもあります。たくさんの機能的なポケットを配備した、カナダグースの基本的なガーメントです。そして、それを更に精巧に、そしてシンプルにした物が、バンクーバージャケットであるといっても過言ではないでしょう。

バンクーバージャケット

バンクーバージャケットはエクスペディションパーカーの必要なディテールのみを残し、タウンユースアイテムとして使いやすくしたモデルです。長めに設計された袖には、腕を動かしてもつねに袖口がフィットするリブニットを付け、寒気を完全にシャットアウトしています。ポケットには特殊なフラップを採用し、雪の侵入やポケットの中身の飛び出しを防ぐ装備などの工夫がされています。

こだわりと完成度の高さ

カナダグースには、品質が高く評価されるだけの細やかなこだわりが感じられましたね。長い歴史の中で作り上げてきた品質へのこだわりとその進化は、今現在にまで続いています。ただ、いいものを作るだけではなく環境維持を徹底しながら最高品質のものを築き上げていく。それこそ、カナダグースが世界中の人々に支持され続ける所以なのではないでしょうか?ブランドの歴史の中には多くのこだわりが感じることができましたね。