時刻合わせは最低限のメンテナンス

時計を扱う中でいちばん頻繁に調整が必要になるのが時刻合わせです。他のどんな機能も大体はお店やメーカーでやってくれますが、時刻合わせだけは自分でやらなければいけません。それだけ頻繁にやらなきゃいけないということでもあります。

もちろん時計を着ける理由は人それぞれですが、例えば営業の方なら「腕時計は自分が見るものじゃなくお客さんが見るもの」だと言われています。時計の品位だけじゃなく、時間を知るときにさりげなく見れる日本人の慎ましやかな性格を表しています。そんなときに時刻がズレていたら?早速合わせましょう。

意外と難しい時刻合わせ

ですが、時計の時刻合わせは意外と難しいというのは知られていません。アナログ時計はリューズをひいて針を動かすのは共通ですが、デジタル時計はボタン操作になるので時計によって操作が違います。独特で複雑なのです。

さらに機械式時計の中には、リューズをひいても秒針が止まらないものが古い時計には多くあります。ざくっと合わせるのはカンタンですが、秒まで合わせるとなるとこれは至難の技です。逆回しにして秒針を止めておくような技術も実はあります。

正確な時刻を表しているJST

では時刻合わせをするときにどの時刻を基本にして合わせるのが正確でしょうか。最も正確なのはJST(日本標準時)です。似た言葉でGMT(グリニッジ標準時)とUTC(協定世界時)があり、現在では原子時計を基に時刻を刻んでいるUTCが最も正確だと言われています。

JSTはUTCに9時間足したものです。年末から新年の切り替わりにTVを見ているとテレビ局によって時刻がバラバラなのがよくわかりますよね。ほんとに正確に合わせたいなら、JSTと検索して時刻を合わせましょう。(逆に周りが合っていなくてズレてる気がしてしまうかもですが・・・)

クォーツ時計は月一でいい

クオーツ(電池)時計は月差(一か月にズレる時刻の平均)±10秒と言われているので、月に1度合わせておくととても正確に時計が使えます。

いちばん正確に合わせられるやり方は、秒針が0のときにリューズを引いて秒針を止めます。次に分の表示(インデックス)のギリギリに長針を設定します。10分に設定したいなら、限りなく9分に近い10分の位置にします。このとき、針は逆時計回しで設定すると歯車のスキマがなくきちっと時刻合わせができます。

電波時計は不必要

電波時計は基本的にはクオーツ時計と同じだけの正確さをもっていますが、電波塔から情報を受信して毎日修正しています。なので「電波時計はズレない」のではなく、「頻繁に直してくれている」が正しいです。

しかし電波が入らない環境では通常のクオーツと同じなので、保管場所や使用環境は少しだけ気をつけておくとよいでしょう。世界に電波塔があるので、時計によっては海外旅行に行った際に自動的に時刻を修正してくれるモデルもあります。現存する腕時計の中で最も正確に動く時計です。

機械式は毎週やる

機械式時計は腕時計の中で最も時刻が狂いやすいです。機械式時計は日差(1日にズレる平均)±20秒です。クオーツ時計は月差、機械式は日差と表すほどに正確さのレベルが違います。日差±20秒なので、1週間すると1分以上ズレます。

さらにムーブメントの仕組み上、進むのか遅れるのかも予想がつきません。メーカーできちっと調整はしてあるのですが、重力によるムーブメントの影響でどうしても避けられないものとなっています。実は秒単位で知りたい方には不向きな時計です。

まとめ

時計の時刻合わせについてまとめました。最低限のメンテナンスと書きましたが実は非常に奥が深く、着けている人によって時計が進むのか遅れるのかも違うのです。生活環境が変われば時計にも影響があるということです。

ファッションとして時計を使うシーンも増えてきましたが、時計の本領は時間を知る事です。できるだけ大切に使うためのキッカケにも、マメな時刻合わせをしてあげると長く使えるのではないでしょうか。