三宅一生が歩んできた道

日本のファッション分野に影響を与えた方は数多くいますが、中でも「三宅一生」が立ち上げた「イッセイミヤケ」は今日の日本のファッション分野を支えてきました。その功績が認められ2010年には「文化勲章」2016年には「レジオン・ドヌール勲章」と言う名誉ある賞を受賞しています。日本のファッション分野を支えてきたイッセイミヤケとはどのようなブランドか?今回はイッセイミヤケの歴史~魅力を解説していきます。

イッセイミヤケとは「三宅一生」と言うファッションデザイナーが創設したブランドです。1970年に「三宅デザイン事務所」として立ち上げて以来40年以上、アパレルアイテムだけでなく香水・時計・スポーツアイテム等々幅広い分野を手掛けてきました。続いてはイッセイミヤケを皆さんにより知っていただくために、三宅一生が歩んできた歴史を紹介していきます。

地位を捨てて単身パリへ

三宅一生が誕生したのは1938年4月22日の事。三宅少年は幼い頃より美術に関心を持っており小中高共に美術部に所属。そして今以上に美術が学べる環境へ行きたいと感じ、現在でも難関と言われる「多摩美術大学」に入学しました。多摩美術大学に入学した彼は、他の大学生のように遊びばかりではなく黙々とデザインの勉強、特にファッションデザイン分野に関して注力していました。

その努力が実ったのか、新人デザイナーの登竜門「荘苑賞」では在学中2回も佳作を受賞しています。功績が認められ、卒業後には「東レ」にて1963年度版のカレンダー用デザインを受ける等、日本のファッション分野に名を知られる存在となりました。しかし三宅一生は日本のファッションに嫌気を指していたのです。日本の閉鎖的なファッション感覚、そして「ファッションはあくまでもおまけ」程度にしか思わない日本の環境。そこで彼は現在の地位を捨て、単身パリへと旅立ちました。

プレタポルテの波に乗る

パリにやって来た三宅一生はまず、パリの専門学校を経て現在も残る有名ブランド「ギラロッシュ」「ジバンシィ」にてファッションを学びました。ですがこの時、後に彼のファッション路線を大いに動かす事件が発生しました。それが「5月革命」です。

この5月革命は「革命によって旧政権を崩す」と言う昔の革命だけではなく「古い価値観を壊そう!」と言う学生・若者の参加者が多かったのです。ファッション分野もその波に飲まれ、今までのパリファッションの中心を担った「オートクチュール」から「プレタポルテ」へ移行していきました。三宅一生もプレタポルテの波を直に受けており、この時から彼の路線は「特定の人物だけでなく一般の方々にも受け入れられる服作り」へと変化しました。

実践の場はニューヨーク

その後パリからニューヨークへ渡り、実戦(機能的・実用性がある洋服作り。製作した洋服の販売方法&宣伝方法等)を学び日本へと帰国。帰国した彼は冒頭でも紹介した「三宅デザイン事務所」を立ち上げ、イッセイミヤケのブランド作りました。ブランドを作った後、彼は数々の功績を上げていきます。下記の他にもイッセイミヤケは多くの功績を上げ、今日の日本のファッション分野を支えてきました。

・1983年:布以外の素材を活用した洋服展「ボディワークス展」を開催
・1993年:後に世界中で約400万枚売り上げる「プリーツ・プリーズ・イッセイミヤケ」を展開
・1998年:藤原 大と協力し「エイポック」の開発を開始。
・2004年:若手作家・アーティスト等の人材育成を目的とした「財団法人三宅一生デザイン文化財団」を設立。

日本製の中でもゆとりある服作りを行う

現在のファッションは体のラインを強調する、または自然に出させるのが主流になりました。しかしイッセイミヤケはあえて、その波に乗らず体のラインが出ないゆとりあるアイテムを中心に揃えています。だからと言って、低価格帯のブランドのように野暮ったさやB系の雰囲気が出ないのがポイント。適度なゆとり感覚ながら、着用する方の魅力を底上げする1枚に仕上げています。

日常でも使えるモード感がGOOD!

イッセイミヤケのファッションはシンプルよりもモードに重きを置いています。「モードだと日常使いは厳しいな…」と思いがちですが、三宅一生の路線を忘れてはいけません。イッセイミヤケのファッションは「一般の方々にも受け入れられる服作り」のためか、モード寄りのデザインでも日常使いできます。上記で紹介している写真を見るとシンプル過ぎず、かと言って派手すぎない微妙なラインを維持していますね!この絶妙なラインこそイッセイミヤケの魅力的な所です。

制服デザインを担当!意外な愛用者とは?

イッセイミヤケはファッション分野だけではなく、制服分野でも大きな活躍を見せています。例えば下記に紹介する企業及び会場でイッセイミヤケのデザインが採用されました。

・全日本空輸
・ソニー
・福岡ダイエーホークス(ソフトバンク)
・バルセロナオリンピック リトアニア代表選手団公式ユニフォーム
・大阪万国博覧会(資生堂公式ユニフォーム)

以上となります。そしてなんと!アップルの創業者「スティーブ・ジョブス」もまた、イッセイミヤケの愛用者でした。特に彼が頻繁に利用していたタートルネックはお気に入りと言われていました。イッセイミヤケはファッション分野だけでなく、上記のように意外な所でも大きな活躍を見せていました。

最後に…

イッセイミヤケは今日至るまで、日本のファッション業界を大いに支え、大いに盛り上げてきたブランドです。現在でもイッセイミヤケのブランドは世界中で愛されており、世界のデザイナーに衝撃を与え続けています。そんなイッセイミヤケを1度でも良いので皆さんも実物を見てみましょう。